元岩井小学校舎は明治25年(1892年)に建てられた鳥取県最古の擬洋風学校建築の遺構として1970年8月11日に岩美町指定保護文化財・史跡に指定されました。
小学校が御湯神社付近に移転した後は村役場、中学校、アパート、芝居小屋、映画館、工場などに利用されていましたが今は個人所有となり、老朽化も進んで未使用状態です。
作家尾崎翠さんのお父様が教師として勤務していたこともから映画「第七官界彷徨─尾崎翠を探して」のロケ地にもなりました。所縁の地として岩井温泉街のゆかむりギャラリーにも尾崎翠さんの資料が展示されています。
〒681-0024 鳥取県岩美郡岩美町岩井458
左右対称の玄関ポーチ、1階が下見板張り、2階が白漆喰仕上げ、上げ下げ窓、胴蛇腹持ち送り構造、玄関ポーチのオーダー柱、二階ベランダ、ラウンジ手すり、軒蛇腹という洋風建築の一方では軒ようらく飾り、正面入母屋破風、背面外観、内部仕切り、小屋組などには和風構造技術が使われています。
・胴蛇腹(どうじゃばら)とは、洋風建築の壁の上部や各部を区切るための帯状の装飾で、蛇腹の一種。持ち送り構造とは壁や柱から水平に突き出した石などの構造物で壁や柱に取り付けて、庇(ひさし)、梁(はり)、棚、床などの突出部分を支える横材として用いられます。簡単に言うと、胴蛇腹が装飾と強度を出す横材の意味を兼ねているということですね。
・軒蛇腹(のきじゃばら)とは、建物の軒に帯状に取り付けられた水平の突起部で、壁の上にあって軒を支えるために設けられています。洋風建築の軒と壁の頂部に帯状に取り巻く装飾で、コーニスとも呼ばれます。
・軒ようらく飾り(瓔珞:ようらく)とは、仏教で寺院や仏像、お仏壇などを飾る仏具で、珠玉や貴金属を編んで作られています。
・正面入母屋破風とは入母屋屋根にできる三角形の破風(はふ:屋根の妻側の造形)のことで、日本建築では、法隆寺金堂を代表とする寺院建築や神社建築、桂離宮や二条城御殿などの殿舎、住宅建築、姫路城大天守などの城郭建築に見られます。
※2024年豪雪により校舎倒壊部分あり