トワイライトエクスプレス瑞風は、JR西日本が運行する豪華寝台列車で、2017年6月17日に運行を開始しました。この列車は、京阪神地区と山陰・山陽地区を結び、周遊型のクルーズトレインとして運行されています。瑞風の名前は「みずみずしい風」を意味し、「吉兆をあらわすめでたい風」という意味も併せ持っています。列車内には、豪華な個室や食堂車、展望車、ラウンジカーなどがあり、快適な旅を楽しむことができます。
山陽・山陰コース(周遊)に含まれる東浜駅は、鳥取県岩美郡岩美町にある山陰本線の駅で、瑞風の立ち寄り観光地の一つです。駅の正面には東浜海岸の真っ白な砂浜が広がっています。
トワイライトエクスプレス瑞風では、乗客が楽しめる様々なアクティビティが用意され、以下はその一部です。
立ち寄り観光:各停車駅での観光ツアーが用意されています。例えば、鳥取県内に入るとまず鳥取駅で瑞風バスに乗り換え、5月から10月は鳥取砂丘と砂の美術館、12月~4月は鳥取民藝の父といわれる吉田璋也さんが収集した本物の民藝を展示する鳥取民藝美術館と、通常非公開の旧吉田医院、そして岩美町東浜駅では東浜海岸を望むアルマーレで地元の食材を使った地中海料理が堪能できます。
車内イベント:ラウンジカー「サロン・ドゥ・ルゥエスト」では、立札式のお茶会「瑞風茶会」や沿線の音楽家による生演奏が楽しめます。
食事体験:食堂車「ダイナープレヤデス」では、沿線の旬の食材を使った料理が提供されます。フードコラムニストの門上武司氏プロデュースのもと、「菊乃井」村田吉弘氏監修の日本料理や「ハジメ」米田肇氏監修の西洋料理を味わうことができます。
展望車での景色鑑賞:先頭車両と最後尾車両には展望車があり、大きな窓から美しい景色を楽しむことができます。
岩美町の美しい風景の中、美しい車体が走り抜けるのを四季を通じて観ています。通過駅になりますが、岩美駅・大岩駅の桜も美しく、秋の田園風景も日本らしい和やかな気持ちにさせてくれます。乗客の皆さまは車窓から海と山と温泉の町ならではの風景をご堪能下さい。
陸上地域が 東浜 と呼ばれるのは東浜駅ができてからで、本来、汽車が開通する際に3つの駅名が『岩美』『陸上』『居組』となるとわかりにくいということで、『陸上(くがみ)』が『東浜』駅となり一般的に東浜といわれるようになったとのことです。(↓写真は2016年いわみガイドクラブ講習時に撮影)
※東浜駅が開通したのは熱望約40年後の昭和24年
山陰線は海岸近くを走るものの、山陰海岸独特の浅い谷があり、トンネルや陸橋がたくさんあります。明治43年6月に鳥取岩美間が開通し、翌年11月には兵庫県側までのびました。
陸上鉄橋は、明治時代に作られたもので5本の柱が立ち、その柱(橋脚)の外観はイギリス積みの煉瓦で当時のままです。陸上川の流れにあたる柱2本は円柱で両端と、西から2番目は四角柱です。水の抵抗など計算されたのかもしれません。(橋桁は昭和28年に取り替えられています。)
この鉄橋は県内の鉄道史における重要な遺産であると同時に赤いレンガの橋脚が緑の渓谷や水流とあいまって美しい景観資源となっています(鳥取県の近代化遺産より)
この工事の際には陸上の人たちは工員として作業に加わりましたが、先に居組駅ができました。陸上の町を通過する列車を見上げては悔しい思いをされた方もいて、長く熱望し続けた結果、約40年経過しようやく東浜駅の開通が昭和27年に叶いました。
当時、海にもっとも近い駅としてかつての陸の孤島は阪神方面からの臨海学校や旅行者で賑わい、昭和57年当時は民宿の数が50軒、観光協会を通しての予約状況は47900人になりました。
その後、人口の減少や交通機関の発達など様々な要因を抱え、臨海学校が少なくなり民宿の数が減少、と昭和57年当時の活気を失いつつありましたが2017年瑞風の停車駅となり改修し現在の姿になり、民宿も移住者の方々が引き継ぐなど新しい風を取り入れながらも自然や文化を守り、再建に向けています。
エンブレムにあるMは山陰・山陽の山波に見立て、新しい風を載せて吉兆を運ぶという意味も込められているようなので、まさに温故知新、古き良きものを新しい人の手で再建し守り継いで幸せになれるそんな陸上地域にぴったりであると感じます。